オメガ3、6、9を摂取するならえごま油?アマニ油?

スーパーにはサラダ油や米油、なたね油、オリーブオイル、ごま油などたくさんの種類が販売しています。さらに近年は、えごま油や亜麻仁油も増えており、どの油を購入するのがよいのか迷うところです。また、同時にオメガ3やオメガ6など「オメガ」という言葉を聞く機会が増え、油によってはパッケージに記載されているものもあります。聞いたことはあるけど結局オメガとは何かよく分からない人も多いのではないでしょうか。今回はオメガに視点を当て、そこからどの油を選択するのがよいのかを紹介していきます。

オメガとは

まず、オメガとはどのようなものなのかについてお話していきます。オメガとは脂質の主成分となる脂肪酸の分類の呼び方になります。脂質はたんぱく質や糖質と合わせて三大栄養素と呼ばれており、身体や脳を動かすためのエネルギーとしての役割を果たしています。

参考:日清オイリオ https://shop.nisshin.oilliogroup.com/shop/pages/column_200828.aspx

脂質の主成分である脂肪酸は朋和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分かれ、不飽和脂肪酸はさらに多価不飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸に分かれていきます。基本的に食用油のほとんどは植物油に該当し、不飽和脂肪酸に含まれています。図のように不飽和脂肪酸を細かく分けていくと、α-リノレン酸やドコサヘキサエン酸(DHA)・エイコサペンタエン酸(EPA)を多く含むものを「オメガ3系脂肪酸(n-3系脂肪酸)」、リノール酸を多く含むものを「オメガ6系脂肪酸(n-6系脂肪酸)」、オレイン酸を多く含むものを「オメガ9系脂肪酸(n-9系脂肪酸)」として分類しています。

えごま油、アマニ油はオメガを多く含む油

えごま油、アマニ油にはオメガが多く含まれることは近年広く知られてきました。しかし、オメガにはオメガ3、オメガ6、オメガ9とそれぞれ異なる種類があることはご存知でしょうか?えごま油やアマニ油には多くのオメガ含まれているから、それら油を摂取すればOKということではなく、それぞれ異なる特徴や性質を持つことから、3、6、9の違いと、どういう用途でオメガを摂りたいかによって使い分けが重要になります。

まずはオメガにどんな種類があるかをこのあと説明をしていきます。

オメガ3系脂肪酸

オメガ3と呼ばれる脂肪酸はα-リノレン酸やドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸を多く含み、動脈硬化や血栓が出来るのを予防し生活習慣病の予防や改善、また、血中の脂肪酸を減らす・代謝を上げるなどの働きからダイエット効果も期待が出来ます。しかし、オメガ3系脂肪酸は必須脂肪酸であるにも関わらず体内で作り出すことが出来ないため、食物から摂取するしか方法がなく不足しがちな脂肪酸になります。

オメガ3の1日の摂取目安量
成人の場合 1.6g~2.2g

オメガ3:α-リノレン酸が多く含まれる植物油

  • えごま油
  • 亜麻仁油

えごま油・亜麻仁油の1日の摂取目安量
小さじ1杯=約4.6g

特徴と使い方
この2つの油には特に多くのα-リノレン酸が含まれており、小さじ1杯で1日に摂取すべきオメガ3の目安量を摂取することが出来ます。どちらも酸化しやすく加熱に弱い特徴を持っているため調理用の油としては使わず、スプーン1杯をそのまま飲んだり生のままサラダや冷ややっこ、ヨーグルトなどに直接加えることで効率よく栄養分を摂取することが出来ます。また出来上がった料理であれば温かい料理や飲み物にも加えることが出来ます。

オメガ6系脂肪酸

オメガ6と呼ばれる脂肪酸も必須脂肪酸でありますが、体内で作ることが出来ないため食物から摂取しなければなりません。オメガ6に該当するリノール酸はコレステロール値を下げ血圧や血糖値の改善、白血球の活性化による病原菌の抑制などの効果が期待出来ますが、リノール酸は摂取しすぎると悪玉コレステロールを下げると同時に善玉コレステロールも一緒に下げる働きがあります。また、加工食品などにもよく含まれており、気づかない間に摂取していることが多いため適度に摂り入れたい油です。

オメガ6の1日の摂取目安量
成人の場合 8~11g

オメガ6:リノール酸が多く含まれている油

  • ごま油
  • グレープシードオイル
  • コーン油
  • グレープシードオイルやコーン油が使われているサラダ油

ごま油・グレープシードオイルなどの1日の摂取目安量
大さじ1杯=約14g

特徴と使い方
ごまを焙煎して作られる香ばしい香りが特徴のごま油やブドウの種子から出来ており無味無臭であるグレープシードオイルはドレッシングや炒め物の油として使うことがおすすめです。揚げ物用の油としても使えますが、市販のマヨネーズやドレッシング、お菓子などの加工食品にはリノール酸が含まれているものが多いため過剰摂取を防ぐには控えた方がよい油になります。現代の食生活においてはオメガ6を摂りすぎていることが多いですが、オメガ3もバランスよく摂取することでリノール酸の過剰摂取による動脈硬化や高血圧のリスクを軽減することが出来ます。オメガ3:オメガ6=1:2の比率が理想とされているため、2種類の油を上手に使うことでそれぞれの持つ栄養をより効果的に摂取することが出来ます。

オメガ9系脂肪酸

オメガ3やオメガ6と違い体内でも作り出せることが出来る脂肪酸がオメガ9系脂肪酸です。エイコセン酸やミード酸など数種類が含まれていますがその量はとても少なく、オメガ9のほとんどがオレイン酸で出来ています。オレイン酸の主な働きとしては、体内の血中コレステロールを正常に保ち高血圧や動脈硬化などの生活習慣病の予防、腸内環境の改善や便秘の解消に効果が期待出来るでしょう。オメガ9が含まれる一価不飽和脂肪酸は体内で作り出すことが出来るため必須脂肪酸ではありません。そのため、厚生労働省の定める1日の摂取目安量は設けられていませんが、1日に20~30mlを目安に摂取することで健康によい影響が出るとされています。オレイン酸は摂取しすぎても他の脂肪酸に比べると身体への悪影響は少ないですが、脂質の摂りすぎにより肥満のリスクなどが上がるため、大さじ1~2杯を目安にすると良いでしょう。

オメガ9の1日の摂取目安量
厚生労働省の定めなし
健康によいとされる量は20~30ml

  • オメガ9が多く含まれている油
  • オリーブオイル
  • こめ油
  • なたね油(キャノーラ油)など

オリーブオイル・こめ油の1日の摂取目安量
大さじ1杯=約14g

特徴と使い方
いくつか種類があるオリーブオイルは抗酸化作用のある栄養素も多く含まれているため加熱にも強いですが、最上級のエキストラオリーブオイルはサラダや料理に直接かける・加えるなど生のまま摂取することでよりオリーブオイルの持つ風味や栄養素の効果を感じることが出来ます。そのため、加熱用のオリーブオイル(ピュアオリーブオイル)と分けて使うのがおすすめです。
こめ油やなたね油は酸化に強くほとんど無味無臭であるため、生でも使えますが加熱調理に強い油です。特に米油は油酔いしにくく調理後の酸化もしにくい特徴を持っているため、揚げ物にも作り置き用にもおすすめとなります。なたね油もカラッと揚がる性質を持っているため揚げ物に向いており、コスト面を重要視したい人にはおすすめです。

使い方のまとめ

調理別のおすすめの油

生のまま
えごま油
亜麻仁油
エキストラオリーブオイル

炒め物などの加熱
こめ油
ピュアオリーブオイル
ごま油
なたね油

揚げ物
こめ油
なたね油

香りや風味づけ
ごま油
オリーブオイル

栄養面で積極的に取り入れたい油

血液をサラサラにする、生活習慣病の改善・予防、ダイエット効果
コレステロールを下げ生活習慣病を予防したい場合はオメガ6、悪玉コレステロールを下げる・コレステロールのバランスを取りたい場合はオメガ9を摂取するのがよいです。また、コレステロールが下がる、善玉と悪玉のバランスが整うと血液がサラサラになり代謝が上がるためダイエット効果も期待出来ます。血中脂肪酸を下げたい場合はオメガ3を積極的に摂るのがよいです。

  • えごま油(オメガ3)
  • 亜麻仁油(オメガ3)
  • ごま油(オメガ6)
  • こめ油(オメガ9)
  • エキストラオリーブオイル(オメガ9)

アンチエイジング効果、便秘改善
血行をよくし、肌のターンオーバー、しみ・しわ予防による美肌・美髪効果や腸内環境の改善をしたい場合はオメガ9を中心に抗酸化作用の強いビタミン・トコトリエノール・γ-オリザノール・ポリフェノールなどが含まれている油が効果的です。

  • エキストラオリーブオイル(オメガ9)
  • こめ油(オメガ9)
  • ごま油(オメガ6)

脳の活性化・認知症予防
脳の活性化をさせ、記憶力や学習能力の向上、認知症の予防をしたい場合は、α-リノレン酸が多く含まれているオメガ3を摂るのがおすすめです。

  • えごま油(オメガ3)
  • 亜麻仁油(オメガ3)

まとめ

身体によいからと言っても、どれも油であることは変わらずその主成分は脂質です。カロリーもほとんど同じで大さじ1杯=約125kcal前後になっています。1番大切なことは良質な油からオメガ3・オメガ6・オメガ9の脂肪酸をバランスよく摂取することです。さらにその油の特徴や効果的な調理法を理解し、相性のよい食材と一緒に摂取することでよりその力を発揮します。一部の食物からしか摂取することが出来ないオメガ3は積極的に、加工食品などにも含まれていることが多いオメガ6や体内でも作り出せるオメガ9は適度に摂取するなど意識してみるだけでも大きく変わります。

また今までの解説で明らかのように、えごま油、アマニ油はオメガが含まれるけど、主に含まれるオメガはオメガ3であり、6や9は他の油から摂取した方が効率的です。そのためえごま油、アマニ油はオメガ3を摂取するのに効率的な油であると覚えておきましょう。

また、油は料理など日常的に使うため、味や香り、価格、使いやすさなども重要なポイントになります。1種類だけだと偏りやすくなるため、2~数種類の油を常備し用途ごとに使うだけでも効率的に摂取することが出来ます。上手に摂り入れてそれぞれの油が持つ栄養素やその効果も自分の健康や美容のために役立ててみてください。