ラーメンの特徴と種類

 国民食としても人気があり種類もジャンルも多彩なラーメンは、北海道から沖縄まで日本全国で食べられています。さらに日本各地には地方色の強い特徴のあるラーメンもたくさんあります。国内だけではなく、海外でも人気の高いラーメンの特徴や種類を紹介していきます。

ラーメンの特徴

 日常的に食べられているラーメンは、ラーメン屋や中華料理屋、食堂、ショッピングモールなど様々な場所で食べることが出来、人によっては1週間のうちに何食もラーメンを食べるほど人気があります。醤油や塩などのスープの違いや具材の違いだけではなく、麺の太さや形状、配合の割合など、同じ系統のラーメンだとしても全く同じ味のラーメンは存在しないため、選択肢の広さも人気の1つになります。

また、お店以外にもカップラーメンをはじめ、生麺が特徴のチルドラーメン、即席ラーメンなど自宅で手軽に食べられるラーメンにも種類が多く、近年では簡単には食べることが出来ない日本各地の人気のあるご当地ラーメンを商品化して味わうことも出来ます。

そんな身近にあるラーメンは、中国発祥の中華麺に温かいスープがかかっている麺料理です。ラーメンには店ごとに違う具材が乗っており、スープや麺の違いと一緒に具材が特徴となっているお店も多くあります。ラーメンに使われる中華麺は基本的に小麦粉を使って作られていますが、これはうどんも同じです。では中華麺とうどんをどのように区別しているかというと“かんすい”を使っているか、いないかになります。

かんすいとは
中華麺を作る際に使われるアルカリ性の食品添加物です。粉末状や液体状のものがあり、小麦粉に混ぜることで中華麺特有のコシや風味、色合いを出すことが出来ます。

基本的に中華麺と呼ぶにはかんすいを混ぜて作らなければならず、かんすいを使わないで作られているうどんやパスタと区別しています。かんすいを入れないと中華麺らしい風味や食感を出すことが難しいのですが、近年は工夫してかんすいを入れずに作られている中華麺もあります。

普段食べているラーメンは主に“麺・出汁・タレ・油脂・具”の5つの組み合わせで出来ています。

  • 麺:麺の細さやストレートなどの形状、卵を使っているのかいないのか、水分率、生麺か乾麺かなど麺1つとっても種類がたくさんあります。お店の多くは、提供しているラーメンのスープがどのタイプかによって相性の良い麺を選んでいることが多いです。
  • スープ:ラーメンの主軸ともとれるスープはタレと出汁を組み合わせて作っています。そこにお店によっては香味油や背油などの脂(油)を加え、風味やうま味をプラスしています。タレは醤油・塩・味噌が一般的で、お店ごとに調味料や香
    辛料、素材を混ぜて作られています。出汁もアレンジなどを含めるとたくさん種類はありますが、大きく分けると「白湯(ぱいたん)出汁」と「青湯(ちんたお)出汁」の2種類に分けられます。
  • 具材:チャーシュー・メンマ・ねぎ・海苔・味付たまごを具材として使っているお店が多いですが、他にも青菜やもやしなどの野菜が入っていたり、豚ではなく鶏・鴨を使ったチャーシュー、地方によってはその地方の特産物を使うなどお店ごとに具材は変わり、ラーメンの特徴の1つともなっています。

ラーメンの種類

醤油ラーメン
日本で1番馴染み深く昔から食べられているのが醤油ラーメンです。醤油ベースのタレに出汁を加えてスープを作っており、ちぢれ麺を使っているお店が多く見られます。日本で初めてラーメンを提供したお店も醤油ラーメンを出していました。

塩ラーメン
塩ダレを鶏ガラや豚骨で取った出汁で割ったスープは透明感が強く、素材の味わいを感じられるあっさりしたラーメンです。ストレートの細麺を使っているお店が多く、塩ラーメンの中では特に函館ラーメンが有名です。

味噌ラーメン
札幌ラーメンをイメージすることが多い味噌ラーメンは、醤油や塩に比べると提供しているお店は少なくなりますが、味噌ダレを使った濃厚な味わいが醤油・塩と並んで人気が高いです。脂やバターを入れることが多いですが、味にコクや深みを出す役割と一緒にスープの表面に蓋をしてラーメンが冷めるのを防いでくれます。

とんこつラーメン
福岡をはじめ、九州では主流のラーメンとして食べられている極細麺と乳白色のスープが特徴のラーメンです。サラサラとしたさっぱりしたスープからドロッとした濃厚なスープまでお店によってスープの濃厚さが違うのも特徴になります。

坦々麺
女性を中心に人気の高い担々麺は、日本では胡麻や豆乳を使ったマイルドなスープに豆板醤やラー油などの辛い調味料を合わせて作られているラーメンです。肉味噌とチンゲン菜が具材として入っていることが多く、日本で提供している担々麺は基本的に日本人向けにアレンジされており、本場中国の担々麺とは少し違う特徴を持っています。

つけ麺と油そば
近年定番のラーメンと並んで人気が高いのがつけ麺と油そばです。つけ麺は、通常のラーメンより麺が太く、ざるそばのように濃いつけ汁につけて食べます。麺は温冷選ぶことが出来るお店が多く、食べ終わったつけ汁を出汁で割って飲むのも特徴です。油そばは汁のないラーメンでタレやごま油をまぜ合わせて食べます。油そばの歴史は意外と古く、昭和30年辺りに東京で生まれ「まぜそば」とも呼ばれていましたが、現在は名古屋飯の1つである台湾まぜそばのことを呼び別物となっています。

とんこつラーメンと出汁の関係

基本的にラーメンはタレを出汁で割ってスープを作っており、出汁には鶏ガラや豚骨を使っていることが多いです。そのため、正確に分けると醤油・塩・味噌はタレ、豚骨は出汁の素材というジャンルに分けられます。醤油・塩・味噌ラーメンはタレの名前がそのままラーメンの名前となっており、豚骨を使っているという理由だけではとんこつラーメンとはなりません。

豚骨スープと呼ばれる、豚骨を長時間強火で煮て作った乳白色の白濁したスープをメインに使っているラーメンをとんこつラーメンと呼ぶことが多く、お店によって豚骨の部位や煮る時間の違いがラーメンの味わいや美味しさの違いにも繋がります。ちなみに、豚骨醤油ラーメンは豚骨スープをメインに醤油ダレを使ったラーメンとなっています。他にも、鶏から取った出汁をメインに使って作られているのが鶏白湯ラーメン、魚介系の出汁を使って作られているのが魚介系ラーメンと呼ばれ、いずれも出汁の名前がラーメンの名前となっており、出汁に使った素材の味わいが強く感じられるラーメンとなっています。

ご当地ラーメン

 定番のラーメン以外にも、カレーラーメンやトマトラーメン酸辣湯など個性的なラーメンがあります。さらに日本各地まで見てみると、地方の特産物などを使った個性豊かなラーメンが多く、ご当地ラーメンとして各地を中心に愛されています。日本三大ラーメンと呼ばれるラーメンと一緒に代表的な各地のご当地ラーメンを紹介します。

北海道
日本三大ラーメンの1つであるのが、札幌で食べられている札幌ラーメンです。北海道と言えば黄色いちぢれ麺に味噌ラーメンというイメージが強いですが、その代表的なものが札幌ラーメンになります。しかし、味噌だけではなく醤油や塩、麺もお店ごとに様々な種類があるのも札幌ラーメンの特徴となっています。他にも塩ラーメンが主力の函館ラーメンや醤油味が人気の旭川ラーメンなどを中心に道内では地域ごとに力を入れているラーメンがあります。

東北
日本三大ラーメンの2つ目は福島の喜多方ラーメンです。醤油ベースのスープに”平打ち熟成多加水麺”と呼ばれる水分量が多い太めのちぢれ麺が使われ、コシが強くもちもちした食感を楽しめます。また、海沿いに面している県が多い東北は、魚介系から出汁を取っているラーメンが多くみられ、中でも山形は日本で1番ラーメンの消費率が高い県となっています。

関東
東京を中心に関東ではラーメンの種類やお店がたくさんありますが、太麺やちぢれ麺を使った昔から馴染み深いシンプルな醤油ラーメンを提供しているお店が多くみられます。そのなかでも、刻み玉ねぎが入った八王子ラーメンや野菜餡が特徴のサンマーメンなど具材に個性のあるラーメンも多いです。また、レンコンを麺に練り込んだ水戸藩ラーメンや乾麺を使用している千葉の竹岡式ラーメンも有名です。

中部
日本海側、太平洋側、内陸で座標が高い中央高地など1番土地の環境や気候の違いがある中部地方は、スープの違いだけでなく、麺や具材も多種多様なものが多く、うどんのように太い麺を使った新潟の燕背油ラーメンや生姜がきいた長岡ラーメン、名古屋では辛さが特徴の台湾ラーメンなど他の地方では見られない特徴のあるラーメンが多くあります。

近畿
うどんの文化が根強い近畿地方でもラーメンは多くあり、特に京都では激戦区があるほど人気が高いです。関東に比べると白濁した豚骨スープを使っているお店が増え、京都ラーメンや和歌山ラーメンにも豚骨ベースのスープで作られたラーメンは多くあります。濃いめの味付けが多く、西に行くほど細麺を使う傾向があります。

中国・四国
独特の風味を感じる尾道ラーメンは鶏ガラの醤油スープに小魚の出汁を加えて作られています。スープやチャーシューなどに鶏をふんだんに使った岡山の笠岡ラーメンや100%牛骨で出汁を取った鳥取の牛骨ラーメンなど日本全体を見ても、中国・四国地方のご当地ラーメンは見た目にも味にも個性が強いラーメンが多いです。

九州・沖縄
3つ目の日本三大ラーメンとなっているのは、とんこつラーメンで有名な博多ラーメンです。白濁した豚骨スープと極細のストレート麺が特徴で、トッピングとして他のラーメンでは見ない辛子高菜や紅ショウガ、きくらげを使っています。使われている極細麺が伸びやすいため、ゆで時間による麺の硬さを選べるのも博多ラーメンの特徴となっています。他にも九州には、さらにインパクトが強い豚骨の久留米ラーメン、マー油やニンニクチップが具材として入っている熊本ラーメンなど九州全体を見ても、豚骨スープをベースに作られているラーメンが多くあります。反対に沖縄では豚やかつお節を使ったさっぱりしたスープの沖縄そばが有名です。

番外:冷やし中華はどこの料理?

 夏になるとメニューに加わることが多い冷やし中華は、特に暑い日に食べたくなる子供から大人まで男女関係なく人気のある麺料理です。中華麺にキュウリやトマトなどの野菜や錦糸卵、ハム、カニカマなどの具材を乗せ、酢醤油のタレやごまだれをかけて食べる冷やし中華は、中華とついているため中華料理だと思っている人も多いと思いますが、実は日本で生まれた日本発祥の麺料理になります。昭和12年頃に誕生した冷やし中華は戦後に全国へ広がっていき、改良を重ね今の形となって夏の風物詩として季節限定で毎年多くの人に愛されています。

日本中で多くの人に愛されているラーメンは定番のラーメンから変わり種、地方特有のご当地ラーメンまでを含めると数えきれないほど多種多様な種類や特徴があります。有名なラーメンを食べるのも、たまたま見つけたお店に入ってみるのもラーメンの種類とお店の多さゆえの良さです。好きなジャンルのラーメンだけではなく、ご当地ラーメンも含め様々な種類のラーメンを食べ比べてぜひ違いを味わってみてください。