九州といえば福岡のとんこつラーメンを思い浮かべる人も多いと思いますが、九州には福岡以外にも美味しいご当地ラーメンがあります。全体的に豚骨ベースのラーメンが多い九州のご当地ラーメンを一緒に見ていきましょう。
九州地方のご当地ラーメン
博多ラーメン/福岡
極細の麺と豚骨から取った出汁の白濁としたスープが特徴の博多ラーメンは、福岡だけでなく全国や世界においてもとても人気のあるラーメンです。紅ショウガや辛子高菜、きくらげなど一般的なラーメンにはない具材が使われており、伸びやすい極細麺の硬さを選べるのも博多ラーメンならではとなっています。濃厚なものもありますが全体的にあっさりしており、こってりした豚骨のイメージを払拭するラーメンが多いです。もともとは鶏肉を使った水炊きの〆として麺を入れたのが始まりであるため、あっさりした作りになっているのかもしれませんね。
長浜ラーメン/福岡
屋台ラーメンとしても愛着のある長浜ラーメンは白い見た目の博多ラーメンに比べると茶色みのある豚骨スープが特徴です。市場で働く労働者向けに作られた背景があり、早く茹でられることから極細の麺を使っていました。極細の麺は伸びやすいため少量で提供して替え玉をする文化を作り、長浜ラーメンが替え玉の発祥となっています。コクがあるのにとてもあっさりしたスープは朝から夜までどのタイミングでも食べられるほど軽く感じます。
久留米ラーメン/福岡
福岡での白濁したラーメンの発祥は実は久留米ラーメンになります。他のとんこつラーメンと少し違い、濃厚で豚骨の香りが強く、やや太めの白っぽい麺を使っているお店が多いです。スープの仕込み途中にうっかり強火で長時間炊いてしまったことから偶然生まれたのがとんこつラーメンの始まりとなっています。濃いめのとんこつラーメンが多いですが、あっさりした作りの久留米ラーメンもあり、博多・長浜と一緒に食べ比べて違いを感じてみてください。
熊本ラーメン/熊本
熊本ラーメンも豚骨や鶏ガラを使ったあっさりめのとんこつラーメンですが、にんにくチップやマー油と呼ばれるにんにくを揚げた際の油をトッピングとしてラーメンに入れているのが大きな違いとなります。あっさりしたとんこつラーメンにマー油などが入ることにより熊本ラーメンならではの濃厚なとんこつラーメンが味わえます。また麺も細麺ではなく中太のストレート麺を使っているのも特徴の1つとなっています。
鹿児島ラーメン/鹿児島
鹿児島ラーメンは豚骨を使っていますが他のとんこつラーメンに比べると白濁しておらず、鶏ガラや野菜のうま味も感じられるあっさりした味わいが特徴です。九州のラーメンは久留米の白濁したとんこつラーメンの影響を受けて作られているものが多いですが、鹿児島ラーメンは唯一その影響を受けていないと言われています。中太かビーフンのような細い麺を使うことが多く、中華麺を作る際に使うかんすいを使わずに麺を作っているお店も多いため白っぽい見た目であるのも特徴になります。
長崎ちゃんぽん/長崎
炒めた野菜や豚肉、魚介に豚骨や鶏ガラベースのスープを加え一緒に煮込んで作る長崎ちゃんぽんは具材が多く栄養満点です。明治中期に長崎の中華料理店の店主が中国留学生に安くて栄養の高い料理を作ってあげたのがちゃんぽんの始まりとなっています。ちゃんぽん用の麺を使っており、中華麺に使われているかんすいではなく“唐灰汁”を使っているのが特徴です。この唐灰汁を使うことにより中華麺には出せないもちもちした食感を生み出します。長崎には豚骨メインの長崎ちゃんぽんの他に、鶏ガラメインのスープに生卵を落として食べる小浜ちゃんぽん、鶏ガラとあごを使ったスープに極太のちゃんぽん麺を使う平戸ちゃんぽんがあります。
沖縄そばとラーメンは違うもの?
沖縄そばは名前にそばが使われていますが麺にそば粉は使われておらず、小麦粉にかんすいを使った中華麺と同じ扱いになります。麺の太さやちぢれ具合、丸い麺か平たい麺かは地域によって違があるのも沖縄そばの特徴の1つです。
しかし一般的な中華麺とは違い、茹でた麺の表面に油をまぶして自然冷却した麺を使っているのがラーメンとの大きな違いとなり、沖縄そば特有の食感につながっています。スープもラーメンのスープよりうどんの方が近く、豚骨やかつお節から取った濃厚でうま味の強い澄んだスープは沖縄そばとよくなじみます。具材も煮つけた豚の三枚肉や紅ショウガ、かまぼこ、青ネギなどが使われているのが特徴となります。
また、沖縄や沖縄料理屋では沖縄そばと一緒にソーキそばという文字を見かけることが多いですが、沖縄の方言でソーキと言われているスペアリブが沖縄そばにトッピングされているものがソーキそばとなり、沖縄そばの1種類になります。ラーメンのようでラーメンではない、うどんのようでうどんでもない沖縄そばは他の地域との繋がりの少ない島国特有の麺料理となっているようです。