ひまわり油の特徴と種類、体に悪いという話は?

 キク科の1種であるひまわりの種を搾油して作られているのがひまわり油です。サンフラワーオイルとも呼ばれビタミンEが植物油の中では1番多く含まれています。今回はひまわり油について解説をします。

ひまわり油とは

 ひまわり油は世界で4番目に生産量の多いひまわり油は、ひまわりにある黒い種を使って作られている油です。世界の生産量ではパーム油、大豆油、菜種油に次ぐ第4位の生産量をほこります。クセが少なくあっさりしている風味を持ち、無味無臭なうえに加熱にも強いことから様々な料理に使うことに向いています。日本ではそこまで馴染みの多くないひまわり油は、実はマーガリンやマヨネーズの原料などにも使われていたりと身近な油の1つになります。

 ひまわり油には不飽和脂肪酸と呼ばれるオメガ9脂肪酸が含まれており、その中でも特にオレイン酸が豊富に含まれています。他にも、ビタミンE・ビタミンBをはじめとしたビタミン類も多く含まれています。食用油としても優秀なひまわり油は、クレンジングやマッサージ用オイル、髪や肌の保湿など食用以外でも広く使われており、近年ではひまわり油が配合されているシャンプーやヘアケアも販売されています。

ひまわりの種類と製造方法

 ひまわり油は原料となるひまわりの種子によって風味や栄養素が大きく変わってきます。現在ではハイオレイック種を使うことが主流になっていますが、どのような違いがあるのでしょうか。ハイオレイック種を含む主な3種類の特徴を見ていきましょう。

ハイオレイック種
不飽和脂肪酸であるオレイン酸が75%以上含まれている油です。高オレイン酸として位置づけられ、酸化しにくく、善玉コレステロールを下げずに悪玉コレステロールを下げてくれる効果を発揮してくれます。

ミッドオレイック種
75 %以下のオレイン酸を含んでおり、中オレイン酸とするものをミッドオレイック種と呼びます。オレイン酸とリノール酸がバランスよく含まれている品種ですが、はっきりとした基準は定まっていません。

ハイリノール種
脂肪酸の1つであるリノール酸を多く含むのがハイリノール種です。ハイオレイック種と同じく悪玉コレステロールを下げてくれる効果がありますが、多く摂取してしまうと善玉コレステロールも下げてしまうため、選ぶのであればハイオレイック種の方がおすすめです。

製造方法としては“圧抽法”が主流になります。圧力をかけてひまわりの種から油を抽出する“圧搾法”と、溶剤を使ってさらに油を抽出する“溶剤抽出法”の2つを使って油を採取し、不純物や汚れを取り除いて完成です。圧抽法や溶剤抽出法は効率が良く大量生産しやすいため主流になっていますが、出来るだけひまわり油の栄養分を失わずに摂取したい場合は圧搾法で抽出したひまわり油を選ぶのが良いでしょう。

また、トランス脂肪酸の摂取を避けたい場合は“ひまわり精製油”と記載されている精製されたものを選ぶのがおすすめです。どのひまわりの種類であるのかや精製油なのかなどは裏面の原料等が記載されている商品事項を確認してみましょう。任意ではあるため、必ず記載があるものではありませんが記載されていることが多いです。

産地と使い方

 主な産地としてはアメリカ南西部が原産ですが、現在はウクライナが世界最大の生産国であります。次いでロシア、アルゼンチンで多く生産されており、近年日本でもひまわり油の需要が高くなってきています。現時点では国産のものは少なく基本的には輸入される油が多いのが現状です。

 世界では年間2,000万トンのひまわり油が生産されていますが、その60%近くはウクライナとロシアで生産がされており、第3位の生産国がウクライナと黒海を挟んだ隣国トルコとなります。この3カ国で世界の70%のひまわり油を生産しているのですが、2022年のウクライナ戦争の影響で流通が不安定となり、ひまわり油の値段が高騰しただけでなくひまわり油の代替品としてオリーブオイルや菜種油などの値段も急騰しました。その他の生産国もウクライナ周辺国が多く、ウクライナ事情に生産と価格と左右される油の1種です。

 またひまわり油の原料となるヒマワリですが緯度の高い地域で栽培されたひまわりはリノール酸が多く、低いエリアではオレイン酸が増える傾向があります。近年ではリノール酸の多い油はあまり好まれず、アメリカにおいては作付面積の90%近くがリノール酸をあまり含まないオレイン酸の多い品種が栽培されています。

ひまわり油は体に悪いのか?

 ひまわり油について調べていくとひまわり油は体に悪い、危険という記事や紹介を見かけることがあります。今回はひまわり油がなぜ危険と呼ばれているのか、その内容について解説をします。

トランス脂肪酸(リノール酸)が多く含まれる

 ひまわり油にはトランス脂肪酸の1種であるリノール酸が含まれます。脂肪酸自体は体内でエネルギーを作り出すものとして食事から接種をしないといけませが、トランス脂肪酸は食事から接種をしなくても良い脂肪酸とされており、多く接種すると健康に悪影響が出るとされています。トランス脂肪酸の健康被害に対する研究は多くされていますが、欧米の元々多く脂質を摂る文化圏での研究であり、日本人はそもそも脂質を摂る量が少ないことから、日本人にはあまり適した研究でないともされています。WHOでは1日に接種するカロリーの1%以下、重さにすると2g以下に抑えることを推奨しています。ただし、2gを1度でも上回ればNGということではなく継続的に2g以上を接種しないようにする目安であるため、そこは留意が必要です。またリノール酸のようにトランス脂肪酸は複数の種類があり、どのトランス脂肪酸が健康に悪影響を及ぼしているかも判明していません。

 また以前はリノール酸を多く含むひまわり油ハイリノール種が主流でしたが、現在はハイオレイック種が主流となっており、あまり見かけることもなくなってきました。そのような背景からリノール酸が入っている=危険ということではなく、あくまでとりすぎに注意という状況です。

遺伝子組換え植物が使用されている

 この件については大豆油の解説でも触れましたが、やはり遺伝子組換え作物の危険性についてはまだ明確になっておらず、現時点で遺伝子組換え作物の健康被害も報告されていません。遺伝子組換え作物は環境への影響は懸念されており、自然界に流出しないようにかなり慎重に管理をされています。そのような背景から一時期環境への影響を懸念した環境保護団体などから遺伝子組換え作物の輸入禁止等の意見が広く普及しました。その中でいつのまにか遺伝子組換え作物=危険となり現在でも遺伝子組換え作物を食品に使っていないことを敢えて表記するというような状況になっています。そのためひまわり油はそのような原料が使わているから危険という風潮もいまだ根強くあるというのが事実です。

非食用の混同

ひまわり油は美容液として使用されることもあり、コスメ用品として販売されていることがあります。その際、絞っただけとか、ひまわり油100%という記載があることが多く、もちろん美容液としては絞っただけのひまわり油は有用な成分をもっているのですが、食用とする場合には精製する必要があり、誤って調理用として使用して有害物質が発生します。絞っただけのひまわり油はいかにも天然で安全なように感じますが、食用とする場合は精製された食用ひまわり油を食べるようにしましょう。実際、誤って食べたことによる健康被害の事例は見つかりませんでしたが、そのような事案から体に悪いと言われる理由の1つにもなっているようです。

ひまわり油の使い方

 ひまわり油は加熱に強い性質を持っているため、揚げ物や炒め物にも使用できます。ひまわり油は匂いが少ないため、揚げ物や炒めものなどで発生する油の匂いが苦手という方には向いているかもしれません。またお菓子作り、あっさりしていることからドレッシングなどジャンルに限らず幅広く使うことが出来ます。また、他の油に比べると比較的胃に負担がかかりにくいため胃もたれもしにくい万能な油となっています。