ほうじ茶の特徴と産地

 2000年代に入る辺りに起こった抹茶ブームがきっかけで、現在でも抹茶の人気が高くスイーツやお菓子など多くの商品が販売されています。ですが近年は、抹茶と並んでスイーツやお菓子として販売していることが多い人気のお茶があります。それがほうじ茶です。抹茶に次いで2015年辺りからほうじ茶のブームが始まり、大手珈琲チェーン店でもほうじ茶を使った商品は多く発売されています。そんなほうじ茶の特徴や産地について紹介していきます。

ほうじ茶とは?

 ほうじ茶とは緑茶の種類の1つになり、製茶されたお茶を再度加工して作られているため、二次加工品に含まれます。煎茶や番茶、茎茶などを強火で茶色になるまで焙煎して作られています。焙煎と同じ意味の焙じるという言葉からほうじ茶(焙じ茶)と呼ばれており、煎茶に比べると熱が加わることにより、アミノ酸やカテキン、カフェインなどが弱くなるため、寝る前や胃腸が弱い人にも飲みやすいお茶となっています。さっぱりとした味わいが特徴のほうじ茶は脂っこい食事と一緒に飲むことにより口の中の脂っこさを解消してくれます。
また、茶葉を焙煎して作られたほうじ茶は、香ばしい香りを感じられるのが特徴です。これは、約200℃の高温で「ほうじ香」が出るまで茶葉を加熱しており、焙煎することにより生まれるピラジンという成分が多く含まれているためです。このほうじ茶の香ばしい香りはリラックス効果にも繋がります。

ほうじ茶の種類と産地

ほうじ茶の特徴 

 ほうじ茶は茶葉のどこの部分を使って作られているかにより、種類が分かれます。一般的なほうじ茶としては、煎茶や番茶の葉の部分を使って作られています。名称もそのまま「ほうじ茶」となるため、特に説明などがない場合はこのタイプが多く、コクがありキリっとした味わいが特徴です。ミルクを入れてほうじ茶ラテとしても美味しく飲むことが出来ます。

もう1つは、茎の部分を使って作られた「茎ほうじ茶・棒ほうじ茶」です。地方によってや高級な玉露の茎を使ったほうじ茶は「雁が音(かりがね)」や「白折(しらおれ)」とも呼ばれています。うま味成分であるアミノ酸が茶葉で作られたほうじ茶より多いため渋みが少なく、香ばしくも甘みやうま味を感じられるお茶となっています。

ほうじ茶の産地

石川:加賀棒茶
加賀棒茶は石川発祥のほうじ茶です。新茶(一番茶)の茎の部分を浅く焙煎して作られており、甘さを感じつつもクセがなく、すっきりした口当たりが特徴になります。

愛知:名古屋ほうじ茶
最高級の茶葉を使って作られた名古屋ほうじ茶は渋みが抑えられ、甘みを強く感じるのが特徴です。また澄んだ黄金色の水色をしており、他のほうじ茶に比べ甘みのある香ばしい香りが感じられます。

番外編 ほうじ番茶との違い 京都:京番茶 
ほうじ茶と区別がしにくいのが京都で馴染み深く飲まれている“ほうじ番茶”です。番茶を焙煎して作られたものがほうじ番茶となり、京都では大きめの葉を使い、葉の形を残して作られている京番茶が有名です。
番茶は基本的に焙煎しないで作られる緑茶のため茶葉も水色も緑色をしていますが、京番茶は焙煎をしているため茶葉も水色も茶色をしており、ほうじ茶に似たような特徴を持っています。ほうじ茶にも原料として番茶が使われ、焙煎して作られているため区別しにくいですが、あくまで京番茶は番茶であり、京番茶の独特なスモーキーな香りがほうじ茶とは異なることからほうじ茶とは別物とされています。

また、北海道や東北、北陸、関西などでは番茶のことをほうじ茶と呼ぶ地方もあるため、ほうじ茶のことなのか、番茶のことなのか迷ってしまう場合があります。そんなときは、話のきっかけの1つとして、この地方のほうじ茶はどんなお茶なのか聞いてみて下さい。意外な答えが返ってくるかもしれません。

ほうじ茶は香ばしい香りやほうじ茶の持つ渋みが甘いスイーツや飲み物と相性が良く、近年商品として発売しているものが多いです。お茶としてほうじ茶そのものを味わうのも良いですし、アイスやチョコレート、ラテなど甘いスイーツの中に感じられる香ばしい風味を楽しむのも良いです。緑茶や抹茶とはまた違ったほうじ茶の美味しさをぜひ味わってみて下さい。