豆みそは味噌の中では1番産地が少なく東海地方で作られています。
特に東海地方の中でも“愛知・岐阜・三重”の3県を中心に豆みそが作られており、地方によっては「八丁みそ・名古屋みそ・三河みそ・三州みそ」とも呼ばれています。ちなみに静岡は米みそ文化になります。
主原料は大豆と塩と水から作られています。熟成期間は他の味噌に比べると長く1~3年、塩分濃度は10~12%になります。熟成期間が長いため色は濃く赤みのある焦げ茶色をしているのが特徴です。
また、他の味噌には味や色による分類がありますが、豆みそにはそれがなく豆みそとして独立しています。
豆みその作り方
豆みそは米みそ・麦みそと製造工程が少し違います。
①大豆を水に浸し蒸す → 大豆をつぶして丸め“みそ玉”をつくる
②みそ玉に種麹をつけ豆麴にする
③豆麹にしたみそ玉を潰して塩と水を加え混ぜ合わせ桶に入れる → 熟成・発酵させて完成
大豆と麹を混ぜ合わせるのではなく、大豆に種麹を直接つけて作った大豆麹から作られているのが大きな違いになります。そのため、たんぱく質が豊富で栄養も高く、他の味噌にはない独特なうま味があります。また、少しの酸味とほのかな苦みや渋みがあり、甘みが少ないのが特徴です。
米麹や麦麹に比べると豆麹本体に直接色がついており、熟成期間も長いので出来上がった味噌は色が濃く、うま味が増して味も濃くなります。見た目からはしょっぱいイメージがあるかもしれませんが、米みそに比べると塩分濃度は低く実は意外としょっぱくないのです。
ですが、大豆のうま味がたくさん含まれている豆みそは塩分の割合が低くても味が濃いのは変わりません。使う量を間違えてしまうとしょっぱく感じてしまうので注意しましょう。反対に、たくさん入れなくてもしっかり味がつくため塩分を気にしている人にはおすすめです。
また、少量をハンバーグなどの煮込み料理やチーズ・牛乳を使った料理に使うと隠し味になり濃厚でマイルドな味わいにすることが出来ます。
ちなみに、この豆みそを作る過程で出来た液体を取り出したものがたまり醤油の始まりとなっています。
赤みそと豆みその違い
豆みそは色が濃く赤みのある焦げ茶色をしていることから「赤みそ」とも呼ばれています。
ですが、それが通じるのは豆みそを作っている地域だけで(特に愛知県)味噌全体を見たときに呼ばれている「赤みそ」は赤い色をした味噌全般のことを呼んでいます。なので、一部の地域以外では“赤みそ=豆みそ”にはならず赤い色をした味噌のことになるのです。
赤みそとしては製造方法や原料は関係なく、米・麦・豆など様々で生産地も日本全国になります。
また、みそ汁などで聞いたことがある「赤だし」とは赤だし味噌のことで、違う種類の味噌を2種類以上混ぜ合わせた味噌のことを言いいます。一般的なものとしては豆みそと米みそをブレンドした味噌になります。
他にも、だしなどの調味料が混ぜ合わせてある調合みその事も赤だしと言いますが、赤だしという名前だからと言って全てのものにだしが入っているわけではありません。
では「八丁みそ」とは何でしょう?
八丁みそ
八丁みそとは豆みその一種で愛知県岡崎市にある旧:八丁村(現:八帖町)で作られていたのが始まりです。江戸時代初期から作られている伝統的な八丁みそは現在では、製法・原料・熟成など国が定めた基準を満たしていないと八丁みそと呼ぶことが出来ません。
他の豆みそに比べると水分が少なく硬いのも特徴です。
老舗では今でも職人が約2メートルある木桶を使い、山のような形(円錐状)に積み上げた重石をして味噌を仕込んでいます。その重さは3トンとも言われています。人の手を入れずに二夏二冬(ふたなつふたふゆ)かけて熟成させるので、他の豆みそにはない大豆のうま味がぎゅっと詰まった濃厚な味噌になります。
八丁みそは煮込んでも風味が飛びにくいので、みそ汁や煮込み料理に向いています。名古屋めしで有名な味噌煮込みうどんも八丁みそを使って作られています。
使われる豆の種類
基本的に売られている豆みその主原料は大豆になります。
ですが大豆の代わりに違う豆を使って作られている味噌もあります。買うことも出来ますが、生産しているメーカーや種類が少ないので自分で好きな豆を使って作ってみるのも面白いかもしれません。
- 黒豆
- ひよこ豆
- レンズ豆
- えんどう豆
- 黒/赤いんげん豆
- あずき など
豆によってあっさりした味わいの味噌や大豆より甘みが強くなって洋食と相性が良い味噌になるようです。中には大豆で作られた味噌よりおいしい味噌になるものもあるのだとか。気になる人はぜひ試して味を比べてみて下さい。
八丁みそもそうでしたが、豆みそは熱を加えるとうま味がぐんと上がるので、煮込み料理を中心に味噌煮や味噌田楽、名古屋飯めしだと土手煮や味噌カツなど様々な料理に使うことが出来ます。 米みそや麦みそとは一味違う味噌料理を楽しみたいときは豆みそを使ってみるのはいかかがでしょう。