水塩(みずしお)って知ってる?水塩の作り方と使い方

水塩と聞いてもぱっとイメージ出来るものは少なく、なんとなく海水や水に塩を混ぜたものというイメージが浮かぶのではないかなと思います。水塩と書いて「みずしお」と読みます。醤油が広く普及する以前はこの水塩が調味料として使われきました。今回はそんな「水塩」とは一体どのようなものなのか、作り方や使い方などを紹介していきます。

水塩とは

水塩とは塩分濃度が高く昔からある手作り出来る万能調味料です。非常に雑に言えば水に塩を高い濃度で溶かした液体です。
後ほど解説しますが、水塩が一般家庭で使用されていた時は醤油の代わりのような役割を果たしていましたが、現在は水塩をスプレーボトルに入れ霧状にして食材に吹きかけ使用することが一般的です。スプレーで霧状にすることで少量でも食材の隅々までムラなく付着することが可能な為、結果的に減塩に繋がることにもなります。

また人が塩味を認知するためには塩が唾液で溶けてイオン状になることで、初めて味蕾(みらい)と呼ばれる舌にあるブツブツした部分で味を受容し、味を感じることができます。水塩はすでに塩が水に溶けた状態(イオン状態)であるため、素早く味として認知することから、味を感じやすいとされています。

料理でアク抜きのために塩を水に溶かした塩水(しおみず/えんすい)は塩分濃度が1.5〜3.0%程度で、それとは異なるものですので、水塩と塩水、漢字の順番が逆というだけで似ていますが別物になりますので注意してください。

水塩の歴史

水塩は、江戸時代に発祥した調味料で、醤油が主に使われるようになった江戸後期より前は水塩が一般的に使われていました。当時は、海水を煮詰めて塩が結晶化する前の非常に塩分濃度が高い状態のものを水塩として利用していたようです。しかし江戸時代後期になると醤油が普及しはじめます。当時、関西でつくらていた醤油が関東(今の千葉県銚子)でも製造されるようなると、江戸の人々も醤油を好んで使用するようになり水塩は徐々に使用頻度が減り、食卓から姿を消していったとされています。

現在に至るまで一部の料亭や料理屋で使用されてきたようですが、2013年松前屋から「昆布の水塩」という商品が販売されると、再び注目を集める量魅了となりました。余談ですが、塩麹のように昔からあり、使用頻度が減った調味料でも何かのきっかけでまた人気になるようなことは食糧業界、調味料業界ではよくある話かもしれません。

水塩の種類

水塩には大きく分けて2つあります。
1つは、塩を卵の殻や卵白とともに水に入れて煮詰め、その過程で出たアク(カルシウム)を除去した塩水のこと。もう1つは海水を煮詰める過程で出るアク(カルシウム)を取り除いた濃縮海水のことです。

後者は商品として販売しているメーカーもあり、2013年に販売された松前屋の「昆布の水塩」は濃縮海水が使用されています。「昆布の水塩」のように水塩に昆布エキスを加えることで、従前の水塩に足りなかった旨味が追加され食材の味をより引きたてるとされています。

近年は水塩を製造販売するメーカーも出てきており、主に海水を使用した濃縮海水を商品化しているメーカーが多いようです。採取される海の海水によってミネラル成分などが異なり、味や味の感じ方に差異が生じることから、濃縮海水が好まれるようです。世間での知名度がまた上がってきています。

水塩の価値が見直され、商品化されていますが、元々江戸時代では各家庭で海水を煮詰めていたというこから家庭でも再現ができる調味料が水塩です。伝統的な製法や海水を使った水塩は作るのが難しいですが、家庭にある塩から簡単に作ることが出来るためその方法をご紹介します。

塩水の作り方

簡単な方法

材料は塩1に対して水3です。塩を100g用意した場合は水300㏄となります。塩は家庭にあるもので大丈夫ですが、可能ならミネラル成分の高い自然塩を使うのがおすすめです。

1.沸かしたお湯に塩を少しずつ加えしっかり溶かします。沸騰はさせないようにして下さい。
2.塩が溶けたらボウルに移し、冷蔵庫で冷やします。この時は水の色が白っぽいですがそのままで大丈夫です。
3.冷えたらコーヒーフィルターなどを使って濾し、スプレーボトルなどに入れたら完成です。

しっかり冷蔵庫で冷やすことでカルシウムが分離しやすくなり濾した時に水の色が透明に変わります。おにぎりやゆでたまご、炒め物などさまざまな料理に使えますが、刺身などに吹きかけて使うことでより素材の味を引き立たせることが出来ます。基本的には賞味期限はなく、直射日光を避けた常温での保存が可能となります。しかし、長期間スプレーボトルに入れっぱなしだと中の管に塩が結晶化してしまう場合があるため、作る量によっては保存容器から使う量だけ入れ替える方が良いです。

天然白、岩塩や海塩など塩の種類に関するより詳しい解説はこちら

卵白を使用する

先に説明した方法より少し難易度があがる、卵白を使用した水塩の作り方です。材料は卵1つ分の卵白と、水300cc、塩100gです。

1.卵白と塩を鍋に入れてよくかき混ぜる
2.鍋に少しずと水を加えながら火にかける(弱火〜中火)
3.水を少しずつ加えながらゆっくりと沸騰をさせ、発生した灰汁を取り除く
卵白が塩から発生する雑味などを包み込む役割があり、灰汁を取り除くことでその雑味を取り除けます。一気に加熱して強火で発生すると包み込んだ灰汁が壊れてまた雑味が戻ってしまうため、ゆっくりと加熱しましょう
4.表面に塩の結晶ができてきたら火を消して濾して自然に冷ます(コーヒーフィルターを活用)
5.冷めたらもう1度濾して終了

塩は通常販売されている精製塩等でも良いですが、岩塩や海塩などを使用するとより豊かな味わいになります。しかし、同時に雑味を持ち合わせているため、自然塩を使用する場合は卵白を使用した作り方が向いているでしょう。

昆布を加えた水塩

水塩は素材のうま味や風味を出すには万能な調味料ですが、水塩自体にはうま味や風味はありません。そのため、水塩を作る際に昆布を加えることで昆布のエキスが加わり、水塩自体にもうま味や風味が付きより万能な調味料として使うことが出来ます。

作り方としては上記の方法と同じように作り、最後に出来上がった水塩に適量の乾燥昆布を加えて保存しておくだけです。水塩ができたばかりですと熱を持っており、乾燥昆布に熱が加わってしまいエグ味や磯の臭みが出てしまうため十分に冷えてから昆布を加えるようにしましょう。同様に乾燥昆布を長時間入れ続けるとエグ味や臭みのもととなるため、水塩に昆布を加え、冷蔵庫で一晩寝かしたら昆布は取り出すようにします。また昆布はある程度大きさがあるため、瓶などの容器に入れて昆布の出汁が出てからスプレーボトルなど使いやすい容器に移す方がおすすめです。

使用方法

昆布のうま味が加わった水塩はノーマルな水塩よりさらに使える幅は広がります。炒め物のような料理以外にも冷ややっこや刺身、寿司など醤油の代わりに使うことが出来るだけでなく、枝豆や生の野菜に塩の代わりとして使う、肉や魚、野菜など食材の下味に使うなどさまざまな場面で使うことが出来ます。

これは昆布を使用した水塩に限らずですが、唐揚げやお刺身を食べる際に塩や醤油に代わり使用することもできますし、ハンバーグや炒め物など下味をつける際に塩の代わりに使用することができます。前者の場合は、素材の味を活かすために使用し、後者はシンプルに塩の代わりとして使用するというイメージです。特に後者の場合は通常塩を使用するよりも50-80%程度の減塩にもなるため、塩を控えたいという方は水塩の活用を検討してみてはいかがでしょうか?

保存方法

保存方法としても基本的にノーマルタイプと同じく直射日光を避けた常温での保存が可能ですが、昆布が入る分早めに使い切る方がよいでしょう。市販のものもノーマルタイプは賞味期限が3年前後に対して昆布入りは2年と短めになっています。また昆布を入れっぱなしにすると前述した通りエグ味や臭みがでるため昆布は取り除いた状態でご使用ください。また塩と水のみで作られた水塩は理屈上腐ることはありませんが、卵白を使用した場合や昆布を使用した場合は雑菌が入る可能性がその分上がるため、手作りで塩以外のものを使用した場合はできるだけ早く使用するようにしましょう。

簡単に作れる「水塩」はさまざまな料理に手軽に使えるだけでなく、素材の味を引き立ててくれる、味をビシッと決めてくれるなどまさに万能調味料です。市販には昆布以外にもかつお節やホタテ、椎茸、ハーブなどを加えた水塩も販売しています。まだ試したことがない人はぜひ使って昔ながらの伝統的な調味料の有能さを感じてみて下さい。