麦みその特徴と産地

 麦みその主原料は大豆に麦麹と塩を加えて作られています。麦麹に使われている麦は“大麦”か“裸麦”になります。
主に九州と中国・四国地方で生産されていますが、全国での生産率は4%弱と全体で見ると少なめです。

米みそに比べると麹の割合が高く塩分が少ないため麦の持つ甘みが感じられ、あっさりした甘みと麦の香ばしい香りが特徴になっています。塩分濃度は9~13%です。

麦みその作り方

 製造工程は米みそと同じで主原料の麹が麦麹に代わるだけです。ですが米みそに比べると作る過程で麹を多く入れるため、発酵する力が強くなり熟成期間は2~6か月と短めになります。商品によっては1か月前後とさらに短いものもあります。

しかし、出来上がった味噌の色は淡い色をしていますが麹が多く発酵しやすいことから、時間が経つにつれ黒く変色していってしまうのも特徴の1つです。

麦みその産地である九州や中国・四国地方がある地域では、気候が温暖なため米が取れにくく代わりに麦を栽培していたことから味噌も麦で作られるようになりました。各農家や地域で麦みそが作られていたので「田舎みそ」とも呼ばれ昔から愛されています。

麦みその種類

麦みそは甘口か辛口かの2種類しか分類はなく、生産されている地域も限られているので米みそに比べると全体的に種類も少なくなります。

分類味による分類麹歩合塩分濃度代表的な産地
麦みそ甘口みそ15~25(17)9~11(10.5)九州、四国、中国地方
辛口みそ5~10(10)11~13(12)九州、四国、中国、関東地方

甘口みそ

甘口みそ:九州・四国・中国地方
愛媛・山口・広島|瀬戸内麦みそ:瀬戸内地域で生産されており、麹の割合が高く甘口なのが特徴です。
味噌によっては水分量が多く柔らかいものもあります。地域的に米みそ文化と混ざりながら作られています。特に愛媛の麦みそは麹の割合がさらに高くさらっとした甘さと麦の香りが感じられる味噌になっています。
おすすめ料理・郷土料理:佐妻汁、いとこ煮、牡蠣土手鍋、生野菜のつけタレ

鹿児島|薩摩みそ:麦みその中でも熟成期間が30日と短く淡色で甘口の味噌です。
熟成期間が短いのは甘さを引き出すため。麹の香りが高くさわやかで、麹の粒が味噌に残っているのも特徴になります。郷土料理のさつま汁を作るのになくてはならない味噌でもあります。
おすすめ料理・郷土料理:さつま汁、豚汁、みそおでん、豚味噌

辛口みそ

辛口みそ:九州・四国・中国・関東地方
九州|九州麦みそ:基本的に九州では、麹の割合が高く熟成期間も短めの濃厚な甘口みそが多く使われています。               ですが九州の北部では、麦の独特な香りを感じられる赤色の辛口みそも多く使われています。麦みそらしい風味や色合いを残すために熟成期間を調整しつつ甘口みそにはないうま味があるのも特徴の1つです。
おすすめ料理・郷土料理:冷や汁、もつ鍋、味噌漬け

関東|関東麦みそ:埼玉や群馬、栃木など関東でも米みそと一緒に作られてきた少し辛口の味噌
甘口みそに比べると麹の割合は低く熟成期間が長いことでうま味が増し赤色の辛口みそが出来上がります。
おすすめ料理・郷土料理:味噌焼き、味噌煮、野菜スティック

麦みその持つ効果

麦みそはとても栄養価が高く腸内環境にとてもいい調味料です。

麦の持つ食物繊維やミネラルが豊富に含まれています。ミネラルの中には細胞を正常に保ってくれたり血圧を調整してくれるカリウムが含まれており、むくみやだるさも抑えてくれます。特に水溶性食物繊維の大麦グルカンβというものが麦にはたくさん含まれており、糖質の吸収を抑えてくれるうれしい効果があります。

また、アミラーゼという消化酵素も含まれているので善玉菌を活性化してくれたり、コレステロール値を下げてくれる働きがあります。そして、もう一つの主原料である大豆に含まれる大豆イソフラボンも豊富なので美容にも効果が期待が出来ます。
カロリーも米みそに比べると低いため、毎日みそ汁を飲みたい人や糖質制限をしたい人、健康志向や美容思考の人にはうってつけな味噌になります。

甘さと香りが特徴で甘口が多い麦みそですが中には苦手な人もいると思います。そんな時は他の味噌とブレンドした合わせみそや麦麹と米麹を混ぜて作った味噌を試してみるのもいいでしょう。