塩は多くの家庭に常備している基本の調味料です。料理の味付けや食材の下味、パスタを茹でる際などさまざまな用途で使うことが出来ます。しかし、いざ使おうとした時に大きな塊になっていて崩すことが出来ない!なんて経験はありませんか?今回はなぜ塩は固まってしまうのか、防ぐためにはどう対処したらいいのかをご紹介していきます。
塩が固まる理由
塩が固まる原因は湿気です。正確には塩は湿度が高くなると湿気を吸う性質があり、湿気が低くなると水分を放出します。この時、湿気を吸うと塩は溶け、乾燥して水分を放出するときに溶けていた塩が析出という性質を持ちます。そして、この析出した塩は塩の結晶同士を結びつける接着剤として機能して塩が固まるのです。つまり、塩は湿気を吸う過程でまだ固まっておらず、乾く過程で固まってしまうのです。
そして、空気中の湿気はわずかな温度変化でも状態が変化しており、湿気により塩の表面に目に見えないほどの水分が付着し、それにより塩が少しずつ水分を吸収してしまいます。このようなわずかな温度変化で塩は固まってしまうのです。例えば朝晩の気温の違いや調理中の火の熱によっても湿度が上がったり下がったりするため、気づかない間に大きな塊になっていることがあります。そのため、出し入れした際に温度が上下してしまう冷蔵庫での保管は避け、温度や湿度が変化しにくい直射日光を避けた場所で常温で保存するようにして下さい。
固まらないようにするには?塩の保存方法
湿度が原因で固まってしまう塩ですが、固まらないように事前に防ぐ方法はあるのでしょうか?
1番重要なこととしては、密閉出来る容器に入れて保存することで塩が湿気らないように防ぐことが出来ます。しかし、塩は使う頻度が多く開け閉めする回数も多いため密閉していても湿気てしまうことはあります。そんな時は、あるものを一緒入れておくだけで湿気を防ぐことが出来るのです。
事前に対策
- 煎った米やごまを入れておく
- ショートパスタやマカロニなどの乾燥パスタを数個入れておく
- つまようじを1本入れておく
- 珪藻土スプーンを入れておく
どれも塩と一緒に入れておくだけで余分な水分を吸収し、塩が湿気てしまうのを防いでくれます。また、家庭に密閉出来る容器がない場合にもおすすめの方法です。たまにレストランや喫茶店などに置いてある小瓶に入れられた塩の中にお米が入っているのを見かけ不思議に思ったことはありませんか?実はあれも湿気から塩を守り固まらないようにするための工夫だったのです。
編集部のおすすめは珪藻土スプーンです。お米やつまようじなどは身近にあるものであるため使用は簡単ですが、効果という面では珪藻土スプーンが最も高いと思われます。珪藻土スプーンはその名の通り珪藻土で作られたスプーンで、珪藻土と石膏で作られたスプーンです。今では100均でも販売されており、簡単に手に入れることができます。
珪藻土スプーンのメリットはなんと言ってもその乾燥力の強さです。米やつまようじはあくまでその機能も期待できるといったもので、珪藻土スプーンの乾燥力に比べたら比になりません。デメリットは敢えて挙げるのであれば、割れ物であるということです。落としたり、ぶつけたりすると割れることがあり、特に珪藻土と石膏でできたスプーンでありどちらも成分が白っぽいことから塩の保管容器内で割れた場合、なかなか取り出すことが難しいというのが欠点です。そのため、割らないように優しく扱いましょう。また、定期的に容器などを洗っている方の場合、スプーンもと洗うこともありますが、珪藻土スプーンは洗剤などで洗うと、珪藻土の穴が塞がりその能力が下がってしまうそうです。そのため、珪藻土スプーンを洗う場合は水洗いをしてよく乾かしましょう。また編集部でもやってしまったミスですが、しっかり乾かさず塩の容器に入れた場合、珪藻土スプーンが水分をもっており、むしろ塩を固める結果になってしまったということもありました。そのため珪藻土スプーンは乾かしてから使用するようにしましょう。
では、すでに固まってしまった塩はもとのサラサラの状態に戻すことは出来ないのでしょうか?こちらもある方法を使えば簡単にサラサラに戻すことが出来ます。
塩が固まってしまった場合の処理
- スプーンなどで崩す
- ショートパスタやマカロニなどの乾燥パスタを数個入れておく
- フライパンで煎る
- 電子レンジで加熱する
まずはスプーンなどを使って崩してみましょう。まだ固まってから時間が経っていないものは簡単に崩すことが出来ます。さらに、事前に対策する方法にも記載したショートパスタやマカロニなどの乾燥したパスタを数個入れるだけで、塩が吸ってしまった水分を吸収しサラサラに戻してくれる効果もあります。水分を吸い取ったパスタは取り出して処分するようにしましょう。入れて放置しておくだけと簡単で効果もあるためおすすめです。しかし、固まってから時間が経ってしまっている塩は簡単にはサラサラに戻すことは出来ません。そんな時は加熱してみましょう。
1つ目はフライパンで煎る方法です。固まってしまった塩をフライパンに入れ、弱火で加熱します。こちらは小さめの塊がある場合に向いており、菜箸などでかき混ぜながら加熱するとムラなく加熱することが出来ます。塩は無機質であるため、加熱しても焦げることはありません。また焼き塩といって敢えて塩をフライパンで炒ることで苦味を飛ばし、マイルドな味に変えることも料理の手法としては知られています。食卓塩など塩気がシンプルな味の塩であれば、フライパンで炒る方法はおすすめですが、岩塩や海塩など複雑な塩気が面白い塩については、それら苦味などが薄まってしまう可能性もあるため、天然塩は多少面倒ですが、加熱はせずにスプーンで潰したり、吸水するなど地道に塊を改善しましょう。
2つ目は電子レンジで加熱する方法です。大きい塊がある場合は電子レンジの方がおすすめです。電子レンジはの加熱時間は、下記が目安です。
500w:30秒〜1分
600w:20秒〜40秒
耐熱容器に固まった塩を入れラップをしないで加熱します。レンジは全体に熱が加わりやすいため、大きい塊でも熱が加わりやすいのです。しかし、直接目で確認しながら加熱することが出来ず加熱しすぎると焦げてしまうことがあるため、加熱している時は目を離さず一気に長い時間ではなく短めの時間で加熱し、足りない場合は追加で加熱するよう調整して下さい。また焼き塩と同じく、マイルドになることから天然塩はこの方法はあまりおすすめできません。
塩の賞味期限に関する解説はこちら
料理以外の塩の使い方
塩はコスパ重視で購入するとどうしても大容量のものを買うことが多く、大量に余ってしまいがちです。ですが、実は塩は料理の味付け以外にも掃除や臭い取りなどたくさんの使い道があります。
- 排水口のぬめり取り
- まな板やプラスチック容器の殺菌・消臭
- 窓や床の拭き掃除
- 床や畳の掃除
- コンロなどの油汚れ落とし
- 鍋の焦げ落とし
- 靴の消臭 など
重曹と塩を混ぜたものを排水溝に流し、時間をおいてお湯を流すだけで排水溝のぬめりを取り除くことが出来ます。焦げた鍋も濡らして塩をかけ10分ほど放置することで焦げを落とすことが出き、窓や床も塩を混ぜた水で濡らした雑巾で金属部分に気を付けながら拭くだけで汚れを落とすことが出来るだけでなく、結露防止にも効果が期待出来るそうです。また、消臭や除菌効果もあるため靴の中に少量の塩を入れるだけで靴の臭いを取り除くことも出来ます。
掃除に活用する方法もあり市販されている科学洗剤を使用したくないという方は、塩を活用する方法がおすすめですが、やはり市販の洗剤に比べると塩単体での能力は落ちます。やはり専門性というものの違いです。そこで編集部おすすめの方法は、固まった塩は水塩にするという方法です。水塩の作り方は下にあります別ページで詳しく解説していますが、100gの塩に300gの水を入れて加熱して粗熱を取り、ボトルに入れて保存するします。もちろんかなり濃いただの塩水ですが、さまざまな料理に活用ができます。塩が水に溶けた状態であるため塩気を感じやすく、肉やお刺身にも相性がよく、スプレーボトルに入れて活用すれば、塩の使用量を50%程度カットすることもできます。塩が湿気を吸って固まってしまった・・・という時は開き直って水塩にしてしまうのも手ですね。
水塩(みずしお)の作り方と利用方法についてはこちら
塩には賞味期限がなく、正しい方法で保存しておけば長期間保存していても使いたい時に使うことが出来ます。固まってしまった塩もサラサラに戻す方法がいくつかありますが、それでも使い道に困ってしまった場合は掃除や消臭、さらに果物などの変色防止、歯茎のマッサージや凍結防止など他にもさまざまな用途で幅広く使うことが出来ます。知っているだけで役立てる場面がいくつもあるため困った時にはぜひ参考にしてみて下さい。