JAS法による白、淡口、濃口、再仕込み、溜りの5つの醤油の区分の中では最も広く流通している醤油が濃口醤油です。日本で流通している濃口醤油の生産率は約84%を占めており、東日本を中心に多くの地域でこいくち醤油を生産・使用しています。今回は濃口醤油の特徴を紹介していきます・
濃口醤油とは
濃口醤油は「こいくちしょうゆ」と読みます。JAS法に基づく作り方の区分では原材料の大豆と小麦の区分が1:1になるように作られます。新鮮なものは明るい赤褐色をしており、酸化すると徐々に濃い黒色に近づいていきます。また酸化すると風味も落ちるため密閉ボトルなどで保存するか冷蔵庫などで保存すると良いでしょう。また熟成期間は3ヶ月〜2年と5つの醤油の中ではちょうど中間くらいの長さになります。こいくち醤油の主な特徴としては風味がよく万能でいろいろな料理に使うことも、かけて使うことにも向いていて、風味が良いことから万能で多くの料理に使用されます。そのため日本で最も多く流通している醤油が濃口醤油になります。
濃口醤油の塩分濃度
濃口醤油の塩分濃度は製造元によって多少異なりますが、およそ16%前後となります。濃口醤油の塩分濃度は他の醤油の基準ともされており、濃口醤油より塩分濃度の濃いものが淡口醤油、薄いものが薄塩、減塩などと呼ばれます。やはり、濃口醤油が日本で最も流通していることから、塩分濃度についても基準となっているようです。
濃口醤油と淡口醤油(うすくち)と違い
「濃い」の反対は「薄い」が一般的ですが、濃いの反対語として「淡い(うすい)」が使用されることもあります。醤油については「淡い」が使用されており、薄口醤油ではなく、淡口醤油(うすくちしょうゆ)と表現されています。淡口醤油は熟成期間が濃口醤油より短く見た目的にも淡い色をしています。しかし、味においては薄口ということではなく塩分濃度は約18%と濃口醤油より塩気が強いことが特徴です。香りは濃口醤油のほうが強く、個人差はありますが醤油らしい濃厚さと香りがあるのが濃口醤油、塩気がありスッキリした味わいが淡口醤油となります。
よく間違えられるのは淡口という名前につられ、減塩、味が薄いと思ってしまう方もいますが、塩分が高いのは淡口になるため間違えないようにしましょう。
甘口醤油と濃口醤油の違い
濃口醤油と淡口醤油は熟成期間と塩分濃度の違いと先程解説をしました。ここで、それとよく比較される甘口醤油との違いについても解説をしておきます。甘口醤油は主に濃口醤油に甘味料等の甘さを加えたものを甘口醤油と呼び、甘口醤油はJAS法による区分には含まれていません。そのため明確な定義があるわけではないため、製造元のこだわりや作り方によっては必ずしも濃口醤油をベースにしているわけではありません。一般的に濃口醤油をベースに何らかの甘味料を加えた醤油と認識していただければ問題ないでしょう。
こいくち醤油に合う料理
香りが強いためで生臭さを消す効果があり青魚や肉料理に向いています。また、魚料理全般にも向いており、魚の煮つけや角煮、かつおのたたきなどの赤身の刺身に使うと生臭さを抑えることが出来ます。万能で最もポピュラーな醤油であるため、濃口醤油でないといけないという料理はほとんどありません。むしろ、濃口醤油を常備して、他の甘口や薄口醤油などを料理に合わせて使い分けるというほうが無難かもしれません。
さらに、中にはこいくち醤油はアイスクリームにかけて食べるとカラメルのような風味になり料理からデザートまでと幅広く使うことが出来る万能な醤油です。
・焼き魚 ・煮物
・納豆 ・卵かけごはん
・焼き物、炒め物
こいくち醤油を使う地域
醤油は長く日本で使用されている調味料であることから、地域の風習や文化などによって地域差がある調味料の1つでもあります。最後に濃口醤油を主に使用する地域で、それぞれの地域による差や特徴を紹介していきます。
関東を中心に全国で愛用
こいくち醤油は江戸時代の中期に関東で誕生しています。千葉でとれる塩と関東でとれる大豆や小麦を水運の便がよかった利根川を使ったことにより関東での生産が広がっていきました。この時代背景が影響し関東を中心に全国までこいくち醤油の生産が広がり、一般的な醤油に展開していきました。
北海道
北海道では北海道しょうゆと呼ばれるこいくち醤油が一般的です。また北海道では北海道産の小麦を100%使用した濃口醤油を特別に北海道しょうゆと呼ぶことがります。さらに北海道の昆布を使用した“北海道昆布しょうゆ”も人気で地場の醤油としてギフトやお土産にも人気になっています。
おすすめ
昆布八方つゆ/はぼまい
利尻昆布醤油「磯吟醸」/島の人
東北
東北地方ではこいくち醤油が一般的ですが、秋田・山形を中心に日本海側の地域ではやや甘めのこいくち醤油、濃縮つゆやだし醤油が好まれています。他の調味料でも同様ですが、寒い地域になると塩気を強くしたり、逆に砂糖類を加えて甘くしたりと、塩辛さや甘さをより際立てる傾向があります。醤油の場合はやや甘口になる傾向が強いことが特徴的です。また、秋田県ではハタハタやイワシを使った魚醤「しょっつる」が作られており地域性が見えます。
香川県
四国では九州の影響を受け甘口醤油を好む地域が多いですが、江戸時代から醤油づくりが盛んで産地である香川では現在もこいくち醤油を使う地域が多くなっています。
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