小林製薬『紅麹』腎疾患健康被害の原因は青カビ毒『プベルル酸』?

以前、【サプリでなぜ?】小林製薬「紅麹」の正体と危険性(リスク)でおつたえした、小林製薬『紅麹』による主に腎臓への健康被害の原因物質がようやく特定されはじめたようです。物質名は『プベルル酸』、言われていた原因とされている物質『シトリニン』とは異なるようです。

わかっている情報は限られていますが、『プベルル酸』についてまとめていきたいと思います。

『プベルル酸』とは?

『プベルル酸』とは、『プベルリン酸』とも言われる物質で、青カビが作り出す物質のようです。ただ、その毒性などは未だ不明で、厚生労働省は、速やかに動物実験を行うなどして、その毒性の特定につとめるとのことです。

プベルル酸に関する情報は下記の通りです。

項目
分子式C8H6O6
分子量198.130
体系名3,4,6-trihydroxy-5-oxocyclohepta-1,3,6-triene-1-carboxylic acid

1932年にロンドン大学が発見した物質ですが、おそらく薬にも毒にもインパクトが弱く、これといった研究がなされていない状態の物質のようです。

『紅麹』による健康被害の状況

2024年3月29日22時現在までに報告されている情報をまとめると。
死者5名、入院者は延べ114人、通院者と通院希望者は約680人、健康被害の相談は累計で約1万5000件という大規模なものになってます。

ここまで大規模となってしまった原因としては、小林製薬が『紅麹』を、他の食品メーカーに原料として卸していたことであり、サプリメントや健康食品に限らず、普通の食品にも使われていたためであります。

また、小林製薬側の落ち度としては、記者会見を行う2ヶ月前には医療機関から、『紅麹』が健康被害を引き起こしている原因である疑いがあるという指摘をもらっていたにもかかわらず、回収といった措置を講じなかった点が、指摘されています。

医薬品による副作用であれば、『健康被害救済制度』により、健康被害の補償が十分されることは間違いないのですが、今回は健康食品ということもあり、その被害を救済する仕組みというのは、今のところありません。小林製薬がどこまで補償するのか、というのが今後注視するポイントとなります。

カビが発生する物質は、薬にもなることがある?

抗生物質と呼ばれる、菌を殺す薬の第一号は、イギリスの細菌学者フレミングによって、1929年に見い出され『ペニシリン』と呼ばれ、世界中で多くの人の命を救った薬があります。

この薬は実は、青カビの周りには他の菌(ぶどう球菌)が発生しないことに気づいたフレミングによって、他の菌の生育を阻む、そういう物質があるに違いないと気付き、抽出されたものになります。

このペニシリンにも副作用の1つに『腎毒性(腎臓に対して悪い作用)』があり、もしかすると今回の『プベルル酸』にもそういった腎毒性の作用があることが予想されます。