塩に含まれるミネラルとその効果

ミネラルは私たち人間には必要不可欠なのに不足しがちなものでもあります。しかし、ミネラルは体内で作り出すことは出来ないため食物から取り入れるしかありません。そんなミネラルはどの種類の塩を選ぶかによってより多くのミネラルを摂取することが出来ます。今回は塩に含まれているミネラルやその効果について紹介していきます。

塩に含まれるミネラル

人の体内は60%が水分で出来ておりそのうち0.85%は塩分になります。60㎏の男性で例えると約300gの塩分が体内にあるのです。そんな人の体は実は海水に似た成分をしています。塩はもとをたどれば海水から出来ているため、ミネラルの多い塩を選び摂取することで体内のミネラルバランスも整いさまざまな良い影響をもたらしてくれます。

塩に含まれる主なミネラルは“ナトリウム・マグネシウム・カルシウム・カリウム”です。さらに、塩の種類によっては鉄・亜鉛・銅・クロム・マンガン・コバルト・ヨウ素・フッ素・臭素・ケイ素・ホウ素・リチウム・硫黄・硫酸イオン・ストロンテウム・モリブデン・バリウムなど多数のミネラルが含まれています。

どのミネラルが多く含まれているかによりコクやうま味が感じられ、またミネラルの含有量によっては塩の味も変わります。ナトリウムが多いと塩辛く感じ、カリウムが多いと酸味を感じます。マグネシウムが多い場合は苦みを強く感じ、カルシウムが多いと甘さを感じます。また、カルシウムが多くカリウムが少ない場合はうま味を強く感じるなどミネラルには味を大きく左右する役割も持ち合わせているのです。

ミネラルが不足すると、貧血・肌荒れ・抑うつ・低体温・免疫低下・肩こり・イライラする・集中力がなくなるなどの体の不調が現れ、ひどい場合は骨粗しょう症などの症状も見られるようになります。しかし、反対にミネラルを摂取しすぎてしまうと高血圧などに繋がり肝臓や腎臓などの臓器に悪影響を及ぼしてしまう可能性があるため、意識しながら上手に摂取することが大事になります。

ミネラルが含まれる塩

普段の料理の際に使うことが多い塩ですが実は種類がいくつかあります。大きく分けるとどこで採取したのかどのように加工したのかで種類が変わってきます。

場所の違いとして分けると「海塩・岩塩・湖塩」に分けられ、さらに海塩をどのように加工するかによって「天然塩(自然塩)・再生加工塩・精製塩(イオン交換膜精製塩)」に分かれます。

海塩(天然塩・自然塩)はミネラルが豊富に含まれており、成分も自然のものに近いです。海水を太陽と風の力を使って塩に加工したものを「天日塩」、平釜に入れ低温でじっくり火にかけて加工したものを「平釜塩」と呼びます。岩塩は地殻変動によって海水が陸の中に閉じ込められ、長い年月をかけて海水が結晶化したものです。洞窟のような場所で採掘されるため、北米やヨーロッパ・アジアにある採掘場から輸入されています。湖塩も塩分濃度がとても高い湖(塩湖)で生産される塩であるため、日本では採取出来ずボリビアやイスラエルなどの海外からの輸入になります。しかし、塩湖が少ない上に生産性も少ないため希少な塩となっています。

この3種類は基本的に自然のままか自然の力などを利用した伝統的な製法で作られているため、ミネラルが豊富に含まれています。どの形でもすべて元は海水から出来ているのは変わらないのです。

      商品名ナトリウム  マグネシウムカルシウムカリウム食塩相当量 
海塩 
天日塩
海の精 ほんしお(伊豆大島)36.37g525㎎525㎎157㎎92.38g
カンホアの塩 石臼(ベトナム)33.76g780㎎620㎎250㎎85.82g
ゲランドの塩 粗塩(フランス)不明440㎎280㎎110㎎96g
海塩
平釜塩
海の精 あらしお(伊豆大島)34g700㎎400㎎240㎎86.36g
土佐の天日塩 あまみ(高知)35g360㎎720㎎100㎎89g
マルドンシーソルト(イギリス)39g44㎎150㎎49㎎99g
海塩 
独自
ぬちまーす(沖縄)29.25g3,620㎎440㎎1,140㎎73.34g
海塩 
再生
赤穂の塩(兵庫)不明550㎎5~70㎎5~80㎎92g
伯方の塩(愛媛)37.6g100~200㎎50~200㎎10~150㎎95.5g
海塩 
イオン
精製塩 食卓塩39.1g0.098㎎11㎎18㎎99.59g
岩塩  アルペンザルツ(ドイツ)38.8g75㎎400㎎73㎎98g
ヒマラヤ岩塩・ピンクソルト38.1g212㎎185㎎181㎎97g
モンゴル岩塩39.1g5.2㎎292㎎35.2㎎99.3g
アンデス岩塩不明29㎎430㎎90㎎94.69g
湖塩デボラ湖塩(オーストラリア)不明48㎎80㎎57㎎98.6g
ウユニの塩(ボリビア)38.7g30㎎340㎎30g93.9g

※各HP参照

塩の種類に関するより詳しい解説はこちら

上記の表の中には推定数値が使われている塩や同じ塩でも粒の粗さによって数値が変わってくるものもあります。あくまで目安として見たとしても、湖塩や岩塩よりも海塩から作られた塩の方が全体的にミネラルの含有量が多いのが分かります。ぬちまーすのみ温風を当てる独自の製法を使っているため、特にマグネシウムとカリウムの量が多いのが分かります。しかし、海塩の中でも再生加工塩やイオン交換膜精製塩は全体的に見ても数値が低いです。

再生加工塩は海外で作られた天日塩を輸入し、一度溶かしてにがりや海水を加えて再加工している塩です。一度溶かす工程が入ることにより含まれていたミネラルが減ってしまうため、他の塩に比べると少なくなってしまいます。しかし、天然塩や他の塩より低価格で買えるため用途によって使い分ける人も多くいるようです。ですが、メーカーによっては人工的なミネラルを添加しているものもあるため、購入時に原材料などを確認するのがおすすめです。

イオン交換膜精製塩は海水を電気分解でナトリウムイオンを取り出す化学的な製法を使い、濃い塩水を作りさらに煮詰めて作っています。抽出する際にほとんどのミネラルが取り出されてしまうため、ミネラルはほぼ含まれておらず成分のほとんどが塩化ナトリウムで作られています。安価であり、漬物など大量に塩を使う場合には重宝しますが、ミネラルを摂取したい場合には向いていません。

ミネラルの効果

はじめにもお伝えしたように、人の体は海水に近い成分で出来ているため、海水から作られた塩に含まれるミネラルは体にとってさまざまな良い影響を与えてくれます。

  • 神経細胞の電気伝達により体を動かす源となる
  • 浸透作用による栄養素を体中に運ぶ
  • 体内のミネラルバランスを整える
  • 酵素を活性化させ腸の動きを促し消化や吸収を助ける
  • 体のエネルギー代謝を上げ体温も上昇させる
  • 血液を循環させ綺麗にする
  • 骨や爪、歯などの原材料となる
  • 血糖値の上昇をゆるやかにしてくれる
  • 抗酸化作用があるためウイルスや細菌の繁殖を抑えてくれる
  • 神経や筋肉のサポートをしてくれる  など

さらに皮膚や傷の修復を助ける抗炎症作用もあり、シミ・くすみを抑えることや老廃物を排出させるデトックス効果も期待出来るのです。

効率よく塩のミネラルを摂取するには

これだけ良い影響をもたらしてくれるのであれば意識してミネラルを取り入れていきたいですよね。しかし、近年は濃い味付けが増えたことや洋食文化が中心になっていることなどにより塩分を過剰摂取している傾向があります。また塩に含まれるミネラルはあくまで微量であり、塩を摂取していれば微量な必要ミネラルが十分摂れるというものではありません。

そんななかで減塩にも注意しながらせっかくならミネラルも摂りなという方向けに効率的な摂取方法を解説します。

効率的に塩からミネラルを摂取する、塩の選び方

まずは、使う塩を見直してみましょう。精製塩、再生加工塩もミネラルの含有量が少ないため、天然塩や岩塩、湖塩を選ぶようにしてみてください。前述した通り、精製塩や再生加工塩は精製の過程でミネラルがほとんど除去されてしまいます。そのため、ミネラルを摂取したい場合は避けるほうが良いです。

効率的に塩からミネラルを摂取する、調理法

調理に塩は欠かせませんが、塩だけで味が決まることもなく複数の調味料や素材のもつ旨み成分によって味が形成されています。先述した通り、天然塩を使用することをおすすめしていますが、天然は塩気だけでなく、苦味や独特な香りなどを持っており、それだけで味が複雑化していきます。そのため、減塩も意識してミネラルをとなると、塩の使用量を控えてしまったり、味の優先度が下がってしまったりすることがあります。また天然塩は精製塩と比べると価格も高価であることもでデメリットです。

そこで編集部がおすすめする方法は、味を調整する際に使用する塩、または塩だけで味付けをするシンプルに料理に天然塩を使用するということです。例えば、お肉や魚を焼いて塩だけで食べる、塩だけで食材を煮たスープを作る(伝統的なポトフのようなスープ)の場合は、他に調味料を使用せずに味を複雑化せず、塩を第一の調味料として使用するため必要量使用することができます。

ただし、塩の取りすぎは控えるべきですし、塩だけでミネラルが確保できるわけではありませんので、天然塩だからミネラル方法で良いと過信せずにおきましょう。