食用油の種類と特徴(こめ油、オリーブオイル、菜種油など18種)

 日常的に使用するサラダ油、サラダやイタリアンに使用するオリーブオイル、揚げ物には米油、中華にはごま油・・・と様々な油が販売、使用されています。スーパーに行くと同じ要領でも何倍もの価格差があり、これは一体どういう違いがあるのか?と思った方もいるのではないでしょうか?今回は日本農林規格(通称JAS法)に基づき、日本で販売流通している食用油にどのような違いがあるのかを紹介していきたいと思います。

 JAS法によれば、日本で流通する食用油は代表的ななたね油やごま油、オリーブオイルなど16 種類とそれぞれの油を調合した製品、油脂に風味漬けした香味用油の2種を足した合計18種類に区分されています。それぞれ18種類の油は精製度合いによる違い(等級)に更に3等級に分かれます。なお、油を区分する際の等級は、単に品質が高い低いの差ではなかう、精製方法の違いによる差になるため、精製度が高い油は良い油で低い油は悪い油ということではありません。また「サラダ油」と広く認知され販売されている油ですが、精製度合いの高い油をサラダ油とよび、例えば、なたね油の精製度の高い油をならねサラダ油と呼んだり、精製度の高いなたね油と大豆油を合わせた食用調合油を単にサラダ油と呼ぶこともあります。等級による明確な区分はあるものの、すでに商品名としてサラダ油として販売されていることもあり、少し分かりにくくなっているという課題もあります。

 また、油は原材料の違いによる違いはもちろんですが、そこに含まれる成分は油によって大きく異なります。目にする機会も増えた、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の差や、飽和脂肪酸の長鎖脂肪酸や中鎖脂肪酸の種類の差など、成分による区分もまたあり、これは別の記事でもう少し詳しく解説します。

油種精製度が低い精製油サラダ油
サフラワー油精製サフラワー油サフラワーサラダ油
ぶどう油精製ぶどう油ぶどうサラダ油
大豆油精製大豆油大豆サラダ油
ひまわり油精製ひまわり油ひまわりサラダ油
とうもろこし油精製とうもろこし油とうもろこしサラダ油
綿実油綿実油精製綿実油綿実サラダ油
ごま油ごま油精製ごま油ごまサラダ油
なたね油なたね油精製なたね油なたねサラダ油
こめ油精製こめ油こめサラダ油
落花生油落花生油精製落花生油
オリーブ油オリーブ油精製オリーブ油
パーム油精製パーム油
パームオレイン食用パームオレイン
パームステアリン食用パームステアリン
パーム核油精製パーム核油
やし油精製やし油
調合油調合油精製調合油調合サラダ油
香味食用油香味食油

 サフラワー油はベニバナの種子を原料として作られる油です。そのため紅花油と呼ばれることもあります。原料となるベニバナはアメリカ、メキシコから輸入されており、農水省の調査によると令和4年のサフラワー油の生産は0となっており、基本的に輸入される油の1種です(農水省の油メーカー30社による聞き取り調査の結果)。1958年に日本に輸入され、当時はサラダ油という名称で販売展開され、高級品の扱いでした、現在でも大豆油や菜種油と比較すると価格は高いい傾向があります。また、オレイン酸の含有量が高く、ドレッシング用途など生食が向いている油です。

ぶどう油

 ぶどう油はその名の通り、ぶどうの種を絞って作られる油で、グレープシードオイルとも呼ばれます。サフラワー油と同じく、国産のぶどう油はほとんどなく(一部地域で高級油としての生産はある)、海外からの輸入が中心となり、ワインの生産の盛んなフランスやチリなどで多く作られる油の1種です。ぶどう油は香りもなく、料理だけでなく保湿など美容目的で使用されることもあります。

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大豆油

 大豆油はその名の通り大豆から作られる油です。大豆油の原料となる大豆はアメリカやブラジルからの輸入が多く、国産大豆を使用した大豆油も一部ありますが、基本的に原材料は輸入がメインとなります。大豆油は菜種油と並ぶ国内で多く使用される油で、炒め物や揚げ物など油として使用されます。

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ひまわり油

 ひまわりの種子を絞って作られる油で、サンフラワー油と呼ばれることもあります。紅花を絞って作られるサフラワー油と間違われることも多々あります。ひまわりの種は黒色と白色の2種類がありますが、黒色の種から絞ら、その原料は主にウクライナ、アルゼンチンから輸入されています。ひまわり油はビタミンE、オレイン酸が豊富で、植物を原料とする油の中ではその含有量がトップとされており、ドレッシングなど生食が向いている油です。

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とうもろこし油

 トウモコロシを絞って作られる油でコーンオイルとも呼ばれます。とうもろこし油は加熱に強く、炒め物や揚げ物用として使用されるシーンの多い油ですが、マヨネーズにも使用され生食でも利用されます。ビタミンEが多く、国産のとうもろこし油も一部存在しますが、原料のトウモコロシは主にアメリカから輸入され製造されます。

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綿実油

 綿実油はワタの種子を絞って作られる油で、メンジツユ(アブラ)と読みます。綿実油は19世紀頃ヨーロッパでの生産が盛んでしたが、大豆油の生産量が増えると徐々に綿実油の生産量は減っていきました。現在も、ツナ缶の油漬け用の油やスナック菓子の揚げ油などにも使用されていますが、加工用の油としてはやや割高になるため、大豆油などの油に変わって来ています。油自体は独特の風味を持ち、冷めても風味が落ちにくいことから他の油と混ぜずに高級油として流通していることが多い油です。

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ごま油

 胡麻を絞って作られる油で、胡麻を焙煎してから絞る製造方法が一般的ですが、国やメーカーによって高温で焙煎してから絞る油や、ほとんど焙煎せずに絞る油など、焙煎方法と温度によって違いがあります。焙煎が深いほど色が濃くなります。原材料となる胡麻はアフリカ、中南米島から輸入されており、酸化しにくい油として知られています。

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なたね油

 なたね油は菜種を絞って作られる油で、日本で最も多く利用、販売されている油です。カナダで開発されい広く流通している菜種のキャノーラ種を主流となっており、キャノーラ油とも呼ばれるようになりました。1985年までアメリカでは食用が禁止されていましたが、キャノーラ種が開発され以降食用として流通をするようになりました。また菜種油には遺伝子組換え表示の義務がなく、日本にも遺伝子組換え植物を使用した食品として大量に輸入がされています。

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こめ油

 こめ油は、玄米を精米するときに出る米ぬかを絞って作られる油です。米ぬかは米の生産と精米があれば発生するため言わずもがな、国内でも生産がされており、酸化しにくく揚げ物をしても油酔いしにくいということから近年改めて人気と知名度が上がっている油の一種です。米油自体は酸化しにくいものの原材料となる米ぬかは酸化しやすいことから、精米から発生した米ぬかをできる限り早く絞った国産米油は高級米油として知られています。

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落花生油

 その名の通り、落花生を絞って作られる油で、ピーナッツオイルとも呼ばれます。菜種油や大豆油、オリーブオイルと比較するとあまり知られていない油ですが、実は国内での油用の原料として生産される植物のうち、米ぬか、菜種に次ぐ原料生産の多さになります。ビタミンEが豊富な油です。

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オリーブ油

 オリーブ油はオリーブを絞って作られる油で、国内でも広く知られ、利用されている油の1種で。スペイン、イタリア、ギリシャなどが主な生産地で、近年はアフリカや中南米での生産量も増加傾向にあります。また国内では香川県小豆島での生産が盛んですが、小田原や和歌山など国内の生産地も拡大傾向にあります。オリーブ油はオリーブの品種によって香り、辛さなど異なり、料理や加熱の有無で使い分けもできるオイルとなっており、パンやサラダにつける他、刺し身につけたりと、和食への応用も広まりつつあるオイルで、これからまだまだ新しい食べ方などが模索される油の1種です。

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パーム油

 アブラヤシから作られる油で、ショートニングやマーガリンの原料として使用される。以前は大豆油を使用したマーガリンが多かったが、大豆油を使用した場合のマーガリンはトランス脂肪酸が多いことから健康面を鑑みてパーム油に切り替わってきた背景があります。一方でパーム油の生産地であるマレーシアやインドネシアでは元あった森林を切り開きアブラヤシ農園へと展開を進めたことから、持続可能な開発という観点より生産地の実態などが問われるようになっている油の一種です。パーム油の他、食用パームオレイン、食用パームステアリン、食用パーム核油があり、これらもJAS法により区分されているが、詳細はパーム油の解説各論でし、本件では割愛します。

やし油

 やし油はココヤシの果実、ココナッツから絞られる油で、一般的にココナッツオイルと呼ばれます。近年の健康ブームで人気となり、知名度が一気に広がった油の一種です。ココナッツオイルをそのまま食用として利用することもありますが、コーヒーフレッシュやホイップクリームに加工用油として利用されることが多い油です。

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食用調合油

 食用調合油は、今まで説明してきた油を2種類以上組み合わせた油になります。それぞれ油の風味や、特徴などがあり、それらを組み合わせることでより風味を増したり、短所を補ったりして食べやすい油になります。スーパー等で販売している食用調合油を注意深く見てみると、原材料に食用なたね油、食用大豆油等と書かれており、どの油を組み合わせた油化を確かめることができます。

香味食用油

 香味用食用油は油にネギやにんにく、唐辛子などの風味を追加した油で、単に香味油などと呼ばれることがあります。料理の仕上げに少し入れることで香りを増したり、ドレッシングに使用したりと用途は限定されますが、その地域で生産されたネギ等を使用することで地域のPRや特徴づけなどにも利用されます。

以上、JAS法で区分される18種(一部割愛)の紹介でした。それぞれもう少し踏み込んだ情報や特徴、合う料理などもありますから、それについてはそれぞれの解説を作成、展開していきたいと思います。