岩塩の作り方と種類

 岩塩は塩の中でも天然塩と呼ばれる塩の1つになります。欧米ではよく使われている塩であり、海塩に比べるとやや塩辛いのが特徴ですが、甘みやうま味を引き出す力を持ち合わせています。溶けにくい性質があるため、肉料理や魚料理との相性が良いとされています。

岩塩とは

 岩塩はその名の通り、岩のようなゴツゴツした大きい塊の塩です。自然界で作られた塩の塊を砕いて売られている物が岩塩です。塩の塊を発見し、それを砕いて販売する方法を採掘法と呼びます。採掘法は砕くという加工は発生しますが、精製塩のように採取された塊を溶かして電気分解するなどの処理はなく、基本的にあくまで加工は砕くだけです。

 岩塩は海底が地殻変動によって隆起し、陸や山になったとき、海水がその陸や山の中に閉じ込められ長い年月をかけて蒸発することで、大きな塩の塊となります。また塩湖のように海水が閉じ込められ、湖となり長い年月をかけて水分が蒸発して岩塩が発生することもあります。年月としては200万年~5億年という長い期間をかけて作られているため、岩などの塊というより鉱山のようになります。岩塩は通常の岩石より軽いため、地層の圧縮を受け絞り出されるように地層中に出現し、ドームような形状になることがあります。これを岩塩ドームと呼ぶこともあります。

そして、その岩塩ドームから採掘して取り出し、食用として流通しているものが岩塩です。海外には多くの岩塩がとれる鉱山がありますが、日本にはその鉱山がないため日本にある岩塩は基本的には輸入になり、日本産の岩塩は現在ありません。しかし、福島県会津市にある会津磐梯山では山塩と呼ばれる塩が採取されます。この山塩は塩分濃度の高い温泉を煮詰めて作られる塩で、塩湖の湖塩や岩塩とも異なるものですが、岩塩の一種とも言えなくはない日本独特の陸から取れる塩です。

岩塩はミネラル豊富というキャッチフレーズで販売されることが多く、自然界から取れる塩でありミネラル豊富というイメージは確かにありますが、実際岩塩のミネラル分は海塩と比べると少ないというのが現状です。塩のミネラルとは塩化ナトリウム以外のマグネシウム、カリウム、カルシウムなどを指しています。岩塩は長い年月をかけてかたまるうちに、塩化ナトリウム以外のミネラル成分は溶け出してしまい、塩化ナトリウム成分の多い塩となります。そのため、塩からのミネラル摂取をと期待する場合は、海水を原料とする天然塩のほうが良いでしょう。

一方で海塩は地域や地方、できた年代によって味や風味、色までもが異なることが特徴的な塩です。そのため、岩塩については栄養成分を期待して摂取するというよりは、味や色の違いを楽しむという目的で使用するほうが良いのではないでしょうか?

岩塩の作り方 

 取り出し方としては、1つ前に記載した採掘して取り出す”採掘法”のほかに、岩塩鉱に直接水を流し入れ濃い塩水に溶かしてから取り出し、再度煮詰めることで結晶化させる”溶解法”と言う取り出し方があります。自然塩という言葉ありますが、自然塩に対する定義はなく伝統的な手法で採取、作られた塩とされており、採掘法はシンプルに掘り出しただけという方法であるから自然塩、溶解法は現在の技術を用いた方法であるため、岩塩であるから自然塩でないと区別することもあるようです。

岩塩の作り方-採掘法-

その名の通り、岩塩を掘り出して粉砕した方法です。採掘法は岩塩を取り出して粉砕しただけの方法となるため、不純物が多いため、バスソルトやスキンケアの材料として使用されることもあります。不純物には重金属なども含まれ、物理的に不純物を振るいや、手作業で取り出すこともありますが、昨今では金属探知機などを使用して不要なゴミなどが含まれないように確認を徹底している商品やメーカーが増えています。それでも含まれる不純物が多い場合は一度溶かして再度結晶化している場合もあり、その場合は、岩塩にもともと含まれるミネラルが減少してしまうデメリットもあります。商品によっては作り方について説明のあるものありますから確認してみると良いでしょう。

また、採掘法で作られた岩塩は溶けにくいことが特徴で、岩塩が甘く感じるのは溶解速度が非常に遅く、他の塩と比べて、口に含んだ当初の口内濃度が低いからです。そのため、岩塩そのものに甘さを感じさせる成分が入っているわけではありません。

岩塩の作り方-溶解法-

溶解法とは、岩塩が多く含まれる場所に水を流し込み、塩が溶け出た塩分濃度の高い水を回収しその水を蒸発させて塩を取り出す方法です。溶解法を用いた場合、採掘法とは異なり、不純物の量は減少しますが、同時にミネラル等の栄養分が減少してしまうことがデメリットです。見た目も精製塩とあまり変わらず、ミネラル分も失われていることから通常の塩として使用されることが多いです。特に欧米では溶解法によって作られた塩を調理用の塩として使われています。

食用塩公正取引協議会では、岩塩については採掘法か溶解法を明記するよう規定しています。どちらの方法で取り出されたかは商品パッケージの裏面やホームページなどに記載していることが多いため、気になる人はチェックしてみてくださいね。

岩塩の種類

 取り出した岩塩が商品として売られるまでにはさまざまな大きさや形に加工されています。どのような大きさや形があるか見ていきましょう。

ロックタイプ

 大きさとしては拳くらいの大きいサイズになり、おろし金などですりおろして使います。使うときに挽きたての岩塩を味わうことが出来るため、とても風味が豊かに感じます。しかし、粒が大きくなることで塩辛くなりすぎないよう注意が必要になります。料理用の他に、インテリアやランプとして、形によってはバスソルトやマッサージに使うことも出来ます。

ミルタイプ

 ミル用として細かく砕かれた岩塩です。1番馴染み深い岩塩の大きさかもしれません。ミル用に砕かれたサイズの中にもいくつか種類があり、細かいものから粗いものまで幅広くなります。ミルに入った状態で販売されているものもありますので、用途に合ったものを選ぶのが良いでしょう。また料理を使うタイミングで細かくミルすることで風味にフレッシュさがあると、敢えてミルタイプを好む料理人の方もいます。

パウダータイプ

 そのまま使えるパウダータイプは普通の塩と変わらず使え、さらにミネラルも豊富なためおすすめです。水にも溶けやすいことから、料理全般に使いやすく、下味をつけるときに使用することにも向いています。

プレートタイプ

 岩塩プレートとも呼ばれ、板状に切られた形の岩塩です。直接盛り付けて使うことも出来ますが、岩塩プレートの上に肉などの食材をのせて焼くことで、ほどよい塩味がつき、味付けをしなくても食べることが出来ます。岩塩プレートをフライパンや焼き網に乗せてその上で肉を焼くと焦げなどが付きますが、冷めてからお湯などで洗うか、焦げがひどい場合はナイフなどで焦げをそぎ落とせば何度も使用することが使うことできます。繰り返し使う中で小さくなってしまったプレートは砕いて最後まで使うことが出来ます。

関連記事